どうもこんにちは、OPのイズミです。
久々に素晴らしい一冊に出会いましたので、紹介させてください。
佐々涼子「エンジェル・フライト」
雑誌や新聞などで目にし、ちょうど自分の仕事とも相通ずるものを感じたので、
手に取ってみました。
取り上げられているのは国際霊柩送還士というお仕事。
「エアハース」という会社が成田空港の一角にあります。
そこでは海外から帰ってきたご遺体をエンバーミング処理し、
ご遺族の元へお返しすることを専門に行っています。
さまざまな背景を持つ人の「死」に接する送還士たちやご遺族の思いが、
読めば読むほど胸に迫ってきます。
人の人生が十人十色であるのと同じように、その「死」、
そしてその死の受け止め方もまた人それぞれなのだという、
当たり前のことをひしと感じました。
中でも心に響いた一節を・・・
「国際霊柩送還士たちにとって、亡くなった人と最も近い一日がある。
それは遺体が帰ってきた日だ。
彼らは処置をしながら懸命に声を聞き取ろうとする。その人の人生、
その人の人柄、その人の伝えたかったこと。どんな姿で家族のもとへ帰りたいか。
いつも、どんな髪型を好み、どんな笑顔をしていたか。そして家族に何を
伝えたいか。」
私たちの仕事では、ご遺族様と電話でお話させて頂くのはほんの5分のこと。
それからお礼状の文章を作って、お届けするまでの間・・・
人ひとりの生涯からすればほんの一瞬にすぎない接点ですが、
その人と「かかわる」わけです。
そういえば高校生の頃、担任の先生が「人は人にとって環境である」と
常々仰っていました。どんなに長かろうが短かろうが、深かろうが浅かろうが、
人とのかかわり合いによって私たちは生かされている。
そんなことを日々実感しながら、仕事ができるのはありがたいことだな、と
しみじみ思います。
2012年「開高健ノンフィクション大賞」受賞ということですが、
筆者の眼差し、切り込み方も素晴らしいものがあります。
開けば一気に読み切れる一冊でしたので、ぜひ多くの方に読んで欲しいです。
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